幾何公差の図示方法
幾何公差とは
軸を穴に通す目的は、主に以下の2つがあります。1つは軸が抜けないように、穴にがっちりと固定する事。2つ目は軸が摺動できるように、穴と軸に隙間を確保する事です。
これらを区別するのが“はめあい公差“です。このはめあい公差を図面で適切に指示することで、それぞれの目的に合った軸と穴が出来上がります。
幾何公差の種類とその記号
公差の種類 | 記号 | 公差域の定義 | 図示例と解釈 | |||
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形状 公差 |
真直度公差 | 公差域を示す数値の前に、記号φが付いている場合には、この公差域は直径tの円筒の中の領域である。 | 円筒の直径を示す寸法に公差記入枠が結ばれている場合には、その円筒の軸線は、直径0.08mmの円筒内になければならない。 | |||
平面度公差 | 公差域は、tだけ離れた二つの平行な平面の間に挟まれた領域である。 | この表面は、0.08mmだけ離れた二つの平行な平面の間になければならない。 | ||||
真円度公差 | 対象としている平面内での公差域は、tだけ離れた二つの同心円の間の領域である。 | 任意の軸直角断面における外周は、同一平面上で0.1mmだけ離れた二つの同心円の間になければならない。 | ||||
円筒度公差 | 公差域は、tだけ離れた二つの同軸円筒面の間の領域である。 | 対象としている面は、0.1mmだけ離れた二つの同軸円筒面の間になければならない。 | ||||
線の輪郭度公差 | 公差域は、理論的に正しい輪郭線上に中心をおく、直径tの円がつくる二つの包絡線の間に挟まれた領域である。 | 投影面に平行な任意の断面で、対象としている輪郭は、理論的に正しい輪郭をもつ線の上に中心をおく直径0.04mmの円がつくる二つの包絡線の間になければならない。 | ||||
面の輪郭度公差 | 公差域は、理論的に正しい輪郭面上に中心をおく、直径tの球がつくる二つの包絡面の間に挟まれた領域である。 | 対象としている面は、理論的に正しい輪郭をもつ面の上に中心をおく、直径0.02mmの球がつくる二つの包絡面の間になければならない。 | ||||
姿勢 公差 |
平行度公差 | 公差域は、データム平面に平行で、tだけ離れた二つの平行な平面の間に挟まれた領域である。 | 指示線の矢で示す面は、データム平面Aに平行で、かつ、指示線の矢の方向に0.01mmだけ離れた二つの平面の間になければならない。 | |||
直角度公差 | 公差を示す数値の前に記号φが付いている場合には、この公差域は、データム平面に垂直な直径tの円筒の中の領域である。 | 指示線の矢で示す円筒の軸線は、データム平面Aに垂直な直径0.01mmの円筒内になければならない。 | ||||
傾斜度公差 | 公差域は、データム平面に対して指定された角度に傾き、互いにtだけ離れた二つの平行な平面の間に挟まれた領域である。 | 指示線の矢で示す面は、データム平面Aに対して理論的に正確に40°傾斜し、指示線の矢の方向に0.08mmだけ離れた二つの平行な平面の間になければならない。 | ||||
位置 公差 |
位置度公差 | 公差域は、対象としている点の理論的に正確な位置(以下、真位置という)を中心とする直径tの円の中又は球の中の領域である。 | 指示線の矢で示した点は、データム直線Aから60mm、データム直線Bから100mm離れた真位置を中心とする直径0.03mmの円の中になければならない。 | |||
同軸度公差 又は 同心度公差 |
公差を示す数値の前に記号φが付いている場合には、この公差域は、データム軸直線と一致した軸線をもつ直径tの円筒の中の領域である。 | 指示線の矢で示した軸線は、データム軸直線Aを軸線とする直径0.01mmの円筒の中になければならない。 | ||||
対称度 | 公差域はデータム中心平面に対して対称に配置され、互いにtだけ離れた二つの平行な平面の間に挟まれた領域である。 | 指示線の矢で示した中心面は、データム中心平面Aに対称に0.08mmの間隔をもつ、平行な二つの平面の間になければならない。 | ||||
振れ 公差 |
円周振れ公差 | 公差域は、データム軸直線に垂直な任意の測定平面上でデータム軸直線と一致する中心をもち、半径方向にtだけ離れた二つの同心円の間の領域である。 | 指示線の矢で示す円筒面の半径方向の振れは、データム軸直線A-Bに関して一回転させたときに、データム軸直線に垂直な任意の測定平面上で、0.1mmを超えてはならない。 | |||
全振れ公差 | 公差域は、データム軸直線に一致する軸線をもち、半径方向にtだけ離れた二つの同軸円筒の間の領域である。 | 指示線の矢で示す円筒面の半径方向の全振れは、データム軸直線A-Bに関して円筒部分を回転させたときに、円筒表面上の任意の点で0.1mmを超えてはならない。 |
公差域の定義欄で用いている線は、次の意味を表している。
太い実線又は破線:形体
太い一点鎖線:データム
細い実線又は破線:公差域
細い一点鎖線:中心線
細い二点鎖線:補足の投影面又は切断面
太い二点鎖線:補足の投影面又は切断面への形体の投影