【図面の書き方】図面を書く5つの手順と3つの注意点
部品調達には図面が必要ということは分かるけども、実際どう図面を書いたら良いのか書き方が分からない。そのようなお悩みを抱えている設備保全・改善業務をご担当の方、または図面作成に慣れていない方向けに、基本的な図面の書き方や注意すべきポイントを解説します。また、部品の設計や手配を行う際に図面作成の負担軽減に役立つ便利なツールもご紹介するので、ぜひ記事を最後までお読みいただき、図面作成や調達業務の改善にお役立てください。この記事が皆様の図面作成・調達業務の一助になれば幸いです。
目次
図面とは?
図面は、機械設備や構成部品の形状、大きさ、位置関係を一定の規則に従って
2次元的に表現したものです。私たちが言葉を通じて相手とコミュニケーションを行うように、工業生産の最初から最後まで、設計者の意思を伝えるという重要な働きがあります。
図面に書かれたことが相手に伝わらなかったり、誤りがあると正しい製品ができず不良品になってしまうなど大変な結果となってしまいます。
では、具体的に何が図面を書く際に求められるのか、大切な点を3つご紹介します。
1 図面を正確に書く
図面は部品加工や装置組立、メンテナンスの指針となるため、寸法や形状などを正確に書くことが求められます。
小さな間違いも大きなトラブルに繋がる可能性があるため、チェックの段階を設けるなどしてミスを防ぐことが大事です。
2 図面を見やすく書く
図面は間違いなく書かれていたとしても、製作者(図面を見る人)に対して正確に伝わらなければ意味がありません。
例えば、寸法線や加工公差などが集中してそれぞれの指示が分かりにくかったり、線が重なっていたり。
分かりにくい図面は製作ミスのもとになります。
最初のうちは、何が見やすくて見づらいか図面なのか見極めがなかなかつかない場合は、
他の人にチェックしてもらいながら、誰が見ても分かるような図面作成を心がけましょう。
3 規格に準拠して図面を書く
図面は業界標準や国際規格に準拠した形で書かれることが一般的です。
規格には、寸法、公差、線の種類など様々な原則やルールが定められています。
規格の種類としては、
世界共通ルールにしたがったISO(国際標準化機構)と、
日本のJIS(日本産業規格)が代表的です。規格に準拠することで、他の人が図面を読解しやすくなります。
図面を書く際には、これらポイントを意識しましょう。また、図面を書く経験を積んでいくことはもちろん、
他の人の図面の書き方も見ながら学ぶことで、少しずつ図面を書く技術が身に付いていきます。
図面の書き方の基礎知識
図面を書く前に図面の基本的な知識を押さえておきましょう。
1 図面の種類
部品図 | 個々の部品の形状や寸法、公差などを書いた図面です。部品図は、部品の製造や 加工に直接使用されます。 |
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組立図 | 文字通り、製品を構成する各部品がどのように組み合わさるかを示す図面です。組立図は、製品の全体像を理解し、組立プロセスを伝える役割もあります。 |
2 線の種類と使い方
実線 | 物体の輪郭や形状を示します。直接見える部分を書く際に用います。 |
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破線(隠れ線) | 物体の裏側にある部分や、内部構造を示します。見えない部分を書く際に用います。 |
鎖線 | 中心線や対称軸を示します。円や円筒の中心、または対称のある部品を書く際に用います。 |
線の種類の詳細および用途についてはコチラ: 2010年に改正された製図の線(JIS B 0001:2010 より抜粋) | 技術情報 | MISUMI-VONA【ミスミ】
3 尺度・寸法の表記
図面は実際の部品の大きさよりも小さく書かれますが、その比率は一定にする必要があります。
実物と図面に書かれた大きさの割合のことを尺度といいます。
この尺度を図面に明記し、各部品の寸法は実際の大きさで表記します。
4 投影法
設計図面では第三角法が一般的です。三面図は、正面図、側面図、上面図の三つの視点で対象物を表現します。
投影法の詳細は投影図の⽬的と種類、選択肢から図面の本質を理解する | meviy | ミスミのページをご覧ください。
【図面の書き方実務編】図面の書き方 5 つの手順
実際に、凸曲げブラケットの図面を書くことを想定して図面の書き方の流れを見ていきましょう。
1 概念設計
まずは凸曲げブラケットの基本的な概念を明確にします。このブラケットは凸型で、センサーを支持し固定するためのとします。
この段階では、ブラケットの形状や大きさをフリーハンドのスケッチで書きます。
2 詳細設計
次に、ブラケットの詳細な設計を行います。このブラケットは凸型で、一方がセンサーに接続し、他方が取り付け面に接続します。
この形状を具体的にするため、図面作成ソフトウェア(CADなど)を使用し、第三角法でブラケットの三面図を書きます(形状の情報が二面図で把握できる場合は下図のように省略して問題ありません)。
3 図枠選定と図面尺度
作成した図を図枠に入れていきます。寸法線や公差指示が余白を確保して図枠を選びましょう。
このブラケット図面は小さな部品なので、A4サイズの紙に収まる程度の図枠を
選びます。
尺度は1:1(実寸)またはそれより小さいスケールで書きます。
図枠に入る項目は、会社によって変わりますが、主に図面タイトル、図面番号、寸法、尺度、材質・表面処理など図面及び製品の情報を記載します。
呼称 | 短編 × 長編(mm) |
---|---|
A0 | 841×1189 |
A1 | 594×841 |
A2 | 594×841 |
A3 | 297×420 |
A4 | 210×297 |
4 寸法指示や公差指示
図面にブラケットの加工に必要な寸法を入れていきます。 また、必要に応じて重要な寸法には公差をつけて製造時の許容誤差を示します。
5 図面のチェックと修正
図面作成が完了したら、図面をチェックします。誤記や不足がないか、必要な情報がすべて含まれているかを確認します。
自分で確認するだけでなく、他の人にもチェックしてもらいましょう。
今回、凸曲げブラケットを例に書き方の流れをご紹介しました。
これらを基本にしながら、場面に応じ柔軟に対処していくことも必要になります。
図面を書く上での3つの注意点
図面の書き方が少しイメージできたら、注意点や重要な点を押さえておきましょう。
1 寸法・公差の正しい指示
やってしまいがちなのは、寸法ミスや指示漏れ、また重複です。例えば、穴間寸法の指示で、穴の外側に寸法を入れてしまうなどの間違いです。
穴の位置は中心からの距離で指定するのが一般的です。図面上の寸法は製造の基準となるため正確さが求められます。
当然のことですが、寸法を間違えると正しい製品はできあがりませんので、寸法や公差の指定は注意して行うとともに、
誤りがないか必ずチェックしましょう!
公差は加工時の許容誤差を示し、ブラケットの適切な機能を保証します。しかし、公差が厳しすぎると製造コストが上がる可能性があります。
そのため、必要な精度を満たす最小限の公差を設定しましょう。
2 図面と規格の適合性
図面は一般的に国際規格(ISO)や日本産業規格(JIS)に準拠して描かれます。 これらの規格に適合していることを確認することで、他の作業者または設計者や製作側も図面を理解しやすくなります。また、規格とは別に社内で書き方の独自ルールがある場合は、どこまでが独自ルールなのかを把握しておくとよいでしょう。
3 図面のレビュー
図面を完成させたら、必ずレビューを行います。上司や同僚など他の人に確認してもらうことで、見落としていたミスを発見し、
図面の書き方の誤りや図面の読み易さを改善に繋がるフィードバックを得ることができます。
図面を書かずに加工部品を手配して業務効率化
図面は製作側に製品の情報を正確に伝えるための重要なツールで、図面作成の際は規格の遵守や図面のレビューなど、細部にまでの注意と図面作成のステップを確実に踏むことが重要です。一方で全ての部品設計・調達に図面を用いると、図面作成の時間が増えて業務の大きな負担となることもあります。複雑な部品設計には図面作成が必要ですが、簡易的な部品(例:センサーブラケットのような取付金具など)なら、図面作成を省略して部品設計・手配を行い、作図の負担を軽減することもおすすめです。
ここで便利なツールが、ミスミのCナビです。
Cナビは、WEB 上で部品形状に直接寸法入力をするだけで簡単に加工部品の設計・手配ができます。
使い方はシンプルで、Web上で希望の部品形状を選択→形状に直接寸法入力→そのまま注文とたったの3ステップです。その場で価格・納期、部品図面を確認することもできます。
設備の保全・改善で必要な部品や、試作で使う部品など、ちょっとした部品の図面作成から解放され業務効率化につながります。
Cナビを活用して、作図者と調達者の負担を軽減し、より重要な設計や業務に時間を割くことをおすすめします。
まとめ
本記事では、図面の書き方の基本から注意点までをご紹介しました。図面作成の技術はすぐには習得できるものではないので、焦らず図面の書き方の基本を押さえながら経験を積み重ねていけば図面作成の技術は次第に上がっていきます。
それから図面作成には、加工の知識がとても重要になってきます。製作側とコミュニケーションを取りながら、どんな設計をすれば作りやすいか、どんな図面なら伝わるか、理解を深めてきましょう。
また、並行してミスミCナビなどのWebツールを活用して、簡易的な部品の設計・手配の手間を減らし、よりコアな設計、業務に時間を使っていただければと思います。
ぜひ、負担の少ない持続的な設計・調達業務にお役立てください。