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A5052とは?A5056、A2017、A6063、A7075との違いや選定方法を解説

目次

  1. 1.A5052とは?
    • 1.1 A5052の特徴
    • 1.2 A5052の用途
    • 1.3 A5052の加工部品製作例
  2. 2.A5052とその他のアルミ合金との違い
    • 2.1 A5052とA2017の違い
    • 2.2 A5052とA5056の違い
    • 2.3 A5052とA6063の違い
    • 2.4 A5052とA7075の違い
  3. 3.アルミニウム合金材料の選定ポイント
    • 3.1 ①強度面
    • 3.2 ②加工性
    • 3.3 ③使用環境
    • 3.4 ④コスト
  4. 4.よくある質問(FAQ)
  5. 5.まとめ

A5052とは?

A5052はAl-Mg系合金でマグネシウムを含有している5000系合金で、代表的なアルミニウム合金です。5000系にはマグネシウムの含有量により他にもA5056などの種類がありますが、A5052は機械的性質・特性とコストのバランスが非常に良いこともあり、幅広い用途で使用されています。

A5052の特徴

A5052の特徴は、中程度の強度がありながら優れた耐食性や加工性を持っているところです。耐食性については、特に海水に対する腐食耐性があり、海洋環境や屋外での使用に重宝されます。A5052は板材が多く流通しており、板金やプレス加工などの塑性加工に適しています。下記にA5052の特徴をまとめています。

合金元素 Al-Mg系合金
マグネシウム含有量;2.25~2.75%
引張強さ 中程度
耐食性 アルミニウム合金の中で最高級に優れている
加工性 良好(特に板金加工)
溶接性 良好


A5052の用途

A5052は、中程度の強度を担保しながら軽くて錆びにくく加工性も良好という特徴から、幅広い用途で活用されています。例えば、機械・設備の保護カバー、船舶部品、自動車や鉄道車両用部品、電子機器、家具などなど、まさに汎用的なアルミニウム合金です。



A5052の加工部品製作例

A5052は装置のカバーや取付ブラケットなど幅広い用途で使用されています。

図,シリンダカバー
図,シリンダカバー

A5052で製作可能な加工部品の参考として、ミスミCナビでA5052を選定できる加工部品を一覧で紹介します。



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図面を描かずにWEB上でご希望の形状を選んで寸法を入力するだけで価格と納期がすぐに確認でき、そのまま注文可能なサービスです。さらに、穴や切欠きを自由に追加することも可能です。

A5052の加工部品例 板厚
※Cナビ対応範囲
概要
板金-平板ブラケット 板金-平板ブラケット 1.5
2.0
3.0
A5052は板金加工性に適しています。各種穴や切欠きを加工した平板ブラケットが製作可能です。
商品一覧はこちら>
板金-L曲げブラケット 板金-L曲げブラケット 1.5
2.0
3.0
A5052は曲げ加工性に優れています。
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板金-その他曲げブラケット 板金-その他曲げブラケット 1.5
2.0
3.0
A5052はZ曲げ、凸曲げ、フック曲げなど多様な曲げ加工にも対応可能です。
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フライス-平型ブラケット フライス-平型ブラケット 6
8
10
12
15
20
A5052はフライス加工も可能です。板厚は、フラットバー商品は左記レンジですが、6面フライス商品は、5.0~20.0の範囲で0.1mm単位から指定ができます。
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フライス-L型ブラケット フライス-L型ブラケット 5
6
10
12
フライス加工で製作できるL型のブラケットです。
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板金-カバー 板金-カバー 1.5
2.0
A5052の加工性と軽さを活かして機械・装置のカバーとしても使用されます。
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ミスミCナビの詳細を見る

A5052とその他のアルミ合金との違いについて

アルミニウム合金には、A5052以外にも多くの種類があり、それぞれ特性や用途が異なります。特に、設計や部品の選定に慣れていない方にとっては、最適な材質を判断するのが難しいと感じることもあるでしょう。そこで本記事では、A5052を基準として、その他の代表的なアルミ合金との違いを比較・整理しました。各合金の特性を理解することで、より適切な材料選定の一助となれば幸いです。

A5052とA2017の違い

A5052はマグネシウム、A2017は銅(Cu)を主な添加元素としており、合金成分に明確な違いがあるため特性も大きく異なります。特にA2017は2000系のアルミニウム合金に分類され、「ジュラルミン」として知られています。強度が高く切削性が良好ですが、耐食性や溶接性が悪いのが特徴です。このように、A5052とA2017は機械的性質が大きく異なるため、使用される用途もそれぞれ異なります。以下の表に両者の違いをまとめていますので、材料選定の参考にご覧ください。

項目 A5052 A2017(ジュラルミン)
主な合金元素 Al-Mg系合金 Al-Cu系合金
流通形状 平角棒、板 平角棒、丸棒、板
強度 中程度 高強度
※鋼並みの引張強さと耐力
耐食性
加工性 板金加工良好、切削加工可 切削性良好
溶接性
※鋼材よりは劣る
コスト
比較的安価
高価
用途の例 建築用材、車両、自動車、船舶など幅広い 航空機用材(外板など)


A5052とA5056の違い

A5052とA5056は、どちらも5000系のアルミニウム合金に分類されますが、A5056の方がマグネシウムの含有量が多く、それによりA5052よりも若干高い強度と優れた切削加工性を持っています。また、A5056は丸棒形状で流通することが多く、用途にも違いがあります。以下の表に両者の主な違いをまとめていますので、材料選定の参考にご覧ください。

項目 A5052 A5056
主な合金元素 Al-Mg系合金
(Mg)含有量:2.2~2.8%
Al-Mg系合金
(Mg)含有量:4.5~5.6%
流通形状 平角棒、板 丸棒
強度 中程度 A5052より高強度
耐食性
加工性 良好
※塑性加工はA5056より良好
良好
※切削加工はA5052より良好
溶接性
※鋼材よりは劣る
価格感 比較的安価 A5052と比べ若干高価


A5052とA6063の違い

A5052とA6063は、それぞれ異なる系統のアルミニウム合金に分類されます。A6063は6000系合金で、主にマグネシウム(Mg)とケイ素(Si)を含有しており、加工性や耐食性に優れています。特に押し出し加工性が高く、複雑な断面形状の部品製作に適しています。一方、A5052は中程度の強度と高い耐食性、汎用性の高さが特徴です。A6063はA5052よりも強度は劣るものの、建築用サッシや自動車の構造材などに広く使用されています。以下の表に両者の違いをまとめていますので、材料選定の参考にご覧ください。

項目 A5052 A6063
主な合金元素 Al-Mg系合金 Al-Mg-Si系合金
流通形状 平角棒、板 平角棒、角棒、形材
強度 中程度
※A5056よりは劣る
中程度
※A6061よりは劣る
耐食性
加工性 良好 押出性に優れ、
複雑な断面形状が可能
溶接性
※鋼材よりは劣る
コスト 比較的安価 比較的安価
用途の例 建築用材、車両、自動車、船舶など幅広い 建築用サッシ、自動車部品など


A5052とA7075の違い

A5052とA7075は強度や耐食性など大きく異なります。
7000系のアルミニウム合金は、主に亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg)を含有しています。A7075はそれに銅(Cu)を添加したもので、アルミニウム合金の中で最も高い強度をもち、超々ジュラルミンと呼ばれています。この強度を活かして航空機や車両の構造用材といった用途で使用されています。下表に違いをまとめていますので、参考にご覧ください。

項目 A5052 A7075(超々ジュラルミン)
主な合金元素 Al-Mg系合金 Al-Zn-Mg-Cu系合金
流通形状 平角棒、板 平角棒
強度 中程度
※A5056よりは劣る
超高強度
※引張強さ600N/m㎡程度
耐食性
加工性 良好 切削性は良好
溶接性
※鋼材よりは劣る
コスト 比較的安価 高価
用途の例 建築用材、車両、自動車、船舶など幅広い 金型、航空機や鉄道車両用材(構造材系)、など


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アルミニウム合金材料の選定ポイント

A5052をもとにアルミニウム合金材料の違いについて把握できたところで、選定する際のポイント(要素)をご紹介します。

①強度面

強度はどの程度必要なのかを明確にすることは重要です。例えば鋼並みの非常に高い強度が求められるのか、それとも中程度の強度で十分なのか。用途に応じて、強度と耐久性のバランスを検討しましょう。


②加工性

どんな加工が必要かを確認します。曲げ・絞り・プレスなどの塑性加工、切削加工、溶接など、加工方法によって適した材料が異なります。A5052は多様な加工に対応できるため、汎用性が高く便利です。より切削性を重視する場合はA5056や他のアルミニウム合金も検討します。


③使用環境

使用環境を考慮して材料を選ぶことは非常に重要です。使用場所は屋内か屋外か、海水や塩害等の影響はあるか、温度や湿度はどの程度変化するのかなど使用環境を考慮して材料を選定します。5000系や6000系のアルミニウム合金は耐食性が良好ですが、銅(Cu)を含有する2000系や7000系の合金は耐食性に劣るため、表面処理を施すなど対処が必要です。


④コスト

上記①~③の要素だけに注目しすぎると、過剰なスペックの材料を選んでしまい、コストが膨らむ可能性があります。求める性能とコストのバランスをしっかりと見極め、コストパフォーマンスに優れた材料を選定することが重要ですA5052は、性能とコストのバランスが非常に良いため、幅広い用途で採用されている代表的なアルミニウム合金です。

選定に迷ったときは下表もご参考に。

要求内容 選定材料
・鋼並みの高強度が必要 ・A2017(ジュラルミン)を検討します。
・さらに高強度が必要な場合は、A7075(超々ジュラルミン)も検討。
・中程度の強度でOK
・曲げ加工を想定
・A5052が適しています。
・中程度の強度でOK
・切削加工を想定
・・丸棒形状の場合A5056が適しています。
・平鋼形状の場合A6063かA5052が適しています。

加工性、耐食性、中程度の強度、コストの安定性などを考慮するとA5052を選んでおけば無難でしょう。



よくある質問(FAQ)

最後に、A5052に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。材料選定の際の参考情報として、ぜひご活用ください。

Q1.A5052の調質の種類は?

主にO材とH材に分かれます。
O材(焼きなまし材)は、A5052材を加熱しゆっくりと冷却することで内部応力を取り除き、柔らかく加工しやすい状態にする処理です。H材は、加工硬化によって強度を高めている状態を指します。

質別記号 特性・性質
O 最も柔らかい状態にしたもので、非常に加工しやすのが特徴です。また、持効性がない(時間経過で自然に硬くなることがない)ため、安定した特性を維持します。
H32 O材よりも強度を向上させた状態です。H32は加工硬化の度合いが比較的低く、安定化処理が施されており、強度と加工性のバランスが良いのが特徴です。
H34 H32よりもさらに強度を向上させた状態。引張強さ、耐力ともに高くなっています。逆に延性は低下します。比較的高い強度とある程度の加工性を両立しているのが特徴です。
H36 H34よりもさらに強度を高めた状態です。冷間加工の度合いがさらに増し、非常に高い引張強さと高い耐力が特徴です。半面、曲げ加工などの成形が難しくなります。
H38 最大限の冷間加工が施されており、極めて高い引張強さと高い耐力があります。一方で、延性は非常に低く、ほとんど変形することなく破壊に至る可能性があります。部品に高い硬度や剛性、耐荷重性が求められる際に選定されます。

引用元:JISH4000:2017 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条


Q2.A5052の板厚種類は?

0.3mmの非常に薄い板から300mmを超える厚板まであります。
機械部品、カバー、ベース板、取付板などでは1.5、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、9.0、12、15、20といった範囲の板厚種類が主に使用されています。また、薄板(1.5mm~3.0mm程度)は板金加工、それ以上は切削で加工することが一般的です。


Q3.A5052のメリットデメリットは?

メリットは、ある程度の強度はありながら耐食性や加工性に優れており、価格も安定している点です。装置カバーや取付ブラケットなど幅広い用途で使用されています。デメリットは、ジュラルミンのように高強度ではないところです。高負荷がかかるような主要構造物としての使用には向きません。


Q4.A5052の強度は?

中程度の強度です。引張強さは質別によって変わりますが、170N/mm^2~270N/mm^2程度です。


Q5.A5052は錆びる?そのまま屋外で使える?

A5052は耐食性に優れており錆びにくい性質があります。屋外の環境にもよりますが、長期間使用する場合や、塩害、海水の影響を受けそうな場合は表面処理を施工しておくのが無難です。表面処理は、一般的にアルマイト処理が使われています。※A5052は強固な酸化被膜の影響でめっきや塗装は下処理等や品質管理に手間がかかる傾向があります。


まとめ

A5052は、マグネシウムを主成分とするAl-Mg系の5000系アルミニウム合金で、耐食性・加工性・溶接性に優れた汎用性の高い材料です。中程度の強度を持ち、海水環境や屋外でも使用可能なため、自動車部品や船舶、建築資材、電子機器など幅広い分野で活用されています。A2017やA7075などの高強度材とは異なり、コストと性能のバランスが良く、板金加工やフライス加工にも適しています。材料選定では、強度、加工性、使用環境、コストの4つの観点を総合的に判断することが重要です。特に迷った場合は、A5052を選んでおけば多くの用途に対応できるため、初期設計や汎用部品には最適な選択肢と言えます。

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